旅行業界に関する特別講座
2010-11-20
業界の方に聞く業界最前線
6月2日,大谷の担当講義「国際観光学入門」(国際観光学部1年次必修科目)において,旅行業界の方による特別講座を行いました。
この特別講座は,旅行・観光業界の労働組合連合であるサービス・ツーリズム産業労働組合連合会(サービス連合)西日本地方連合会のご協力により実現したものです。この日は,同連合会の工藤正彦事務局長(阪急交通社労働組合)にご講義いただきました。
工藤事務局長は,旅行業界の現状,旅行商品の企画や仕入れ,造成,販売などの業務の流れ,旅行業界を取り巻く環境の変化などについて,阪急交通社での事例やご自身のご経験を交えながらご講義くださいました。
工藤事務局長はまず,旅行を①個人・グループ,②企業,③教育3つの酒類に分類して説明されました。続いて,旅行業の業務内容を①仕入れ・手配,②企画,③店頭販売,④提携販売,⑤添乗,⑥インバウンド及び業務出張の手配,⑦事務(総務・人事など)の7つに分けて説明されました。それぞれの業務について,その概要とともに,供給の限定性や需要の変動性・季節性といった旅行商品の特性による業務の難しさや仕事のやりがいについてお話しくださいました。また,旅行業は環境や治安,経済の影響を大きく受けそれらが追い風となったり逆風となったりするが,旅行や観光に関わる産業はこれからもますます注目されていくとお話しされました。
旅行業をとりまく情勢としては,旅慣れたお客様が増大し,消費者と旅行会社の情報量が同等になってきていること(情報の非対称性の崩壊)と,インターネットのウェブ販売が台頭していることを挙げられました。これに対し旅行業はネットに負けない価値を提供することが重要で,特に接客を通じてお客様に幅広い知識を提供することが求められると指摘されました。また旅行業の仕事の魅力として,旅行は目に見えるものではないためお客様に伝えることも難しく使いづらい商品だが,その分お客様や協力して業務を行う仲間から「ありがとう」と言われたときの喜びは非常に大きく,仕事のやる気につながるとお話しくださいました。
工藤事務局長のご講義の後,同席されていた日本旅行労働組合・渡辺俊也様,JTB西日本労働組合・谷口聡様にも加わっていただき,お三方に,阪急交通社,日本旅行,JTB西日本のそれぞれの強みや今後力をいれようとしていることについてお話しをいただきました。また授業時間終了後も学生達からの直接の質問にお三方がお答えくださいました。
大谷研究室では昨年度(2009年度)より同連合会の協力を得て旅行・観光業界との産学連携を推し進めており,特別講座やホテル・旅行業に勤務する方々との座談会・食事会,同連合主催の勉強会や交流会への出席などの取り組みをさせていただいております。今後も同連合会のご協力を得ながら学生達に業界について学ぶことができる機会を提供しつつ,観光を学ぶ大学生と旅行・観光産業界を結びつける取り組みのあり方を模索して参ります。
本記事の内容は2010年6月2日時点のものです。
受講生の主な感想
![]() 仁井田 早織 |
旅行業界のさまざまな仕事内容やその魅力を詳しく伺うことができました。「旅行業」と一言で言っても,その中で私がやりたいことは何だろう?と自分に問いかけると分からなくなるほどたくさんの仕事が紹介されました。本日はお忙しい中,貴重な講義を有り難うございました。(3回生(編入)・大谷ゼミ)
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![]() A. K. |
旅慣れたお客様が増え,消費者と旅行会社の情報量が同等ぐらいになっているとお聞きして,旅行会社の現状は厳しいなあと改めて感じました。消費者と同じぐらいの知識ならば相談する必要もない。これからは自分自身のアイデアやちょっとした遊び心,好奇心を持つことが旅行会社で働くうえでも重要だと思いました。貴重なお話ありがとうございました。(1回生)
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![]() M. N. |
旅行業は大変だと漠然と思いました。でも「お客様の思い出づくりに参加できる仕事だ」というお言葉がすごく印象的で,すばらしい仕事だと思いました。ますます旅行業に就きたいという気持ちが強くなりました。私たち学生のために熱心に説明してくださって本当にありがとうございました。(1回生)
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